妄想を言葉に。共感を伴走に。なめらかエコノミー人材養成ゼミ(なめエコゼミ)実施レポート

2022年5月〜6月の平日夜、さとのば大学が主催する全4回のオンラインゼミ「なめらかエコノミー人材養成ゼミ」(通称・なめエコゼミ)が、国内最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」の協力を得て実施されました。

今回は日本全国から参加者を募り、中学生から60代まで17名が参加。さとのば大学発起人の信岡良亮(のぶおか・りょうすけ)が講師として、受講生のプロジェクトの種を言語化するオンラインワークショップを実施したほか、株式会社CAMPFIREの社員をゲストにクラウドファンディングの事例やコツを紹介いただきました。

今後はオンラインでの実施のほか、中学校や高校の探究学習での導入も進めていきます。




▶︎目的は「チャレンジを応援する文化」を育てること


中学校や高校の探究学習、社会人の小商いやパラレルワークなど、個人が自分のやりたいことを見つけて、小さく始めてみる環境が少しずつ広がっています。働くことも生きることも、既製品にあわせるのではなくDIYできる幸せな時代に、私たちは生きていると言えるでしょう。

そんな時代に必要な考え方とスキルを、さとのば大学は学びのコミュニティを通じて学習者に届けています。

その一環として、さとのば大学では、1案件5万円~20万円ほどの小さなクラウドファンディングを広めています。

小さなクラウドファンディングを行う意味は2つあります。


一つは一人一人の内発的なプロジェクトを言語化し、他者から客観的なフィードバックを得ること。プロジェクトが実現に向けて1歩前進する機会になります。

そして、より重要なのは、チャレンジを応援する文化を育てるということです。

プロジェクトに対して資金を送る支援者はもちろん、プロジェクト起案者に伴走して実行をサポートする応援者も重要な存在です。



授業風景


▶︎なめエコゼミの内容


クラウドファンディングのノウハウを学ぶセミナーは様々なところで行われていますが、本講座は他の講座とは一味違います。

普段からオンラインで学びの場を作っているさとのば大学の経験を活かして、オンラインでも体温が伝わるコミュニケーション設計を行いました。そして単発で終わらず4週をかけて、「なめらかにお金と想いが循環する経済=“なめらか経済”」を担い手として支えるノウハウを学び、実際にプロジェクトの起案者と応援者が繋がる機会を作りました。

全4回の講座の概要は下記の通りです。

① 5/12(木) 19:30-21:00

前半:オリエンテーションとして「なめらかエコノミー」についての解説

後半:ワークショップ 「なりわいロールプレイング」

自分の好きや得意を活かして人にお裾分けしたくなる趣味は?そこから小さな職業をつくってみましょう。(〇〇屋さんごっこ)


② 5/19(木) 19:30-21:00

前半:宿題としていた「プロジェクトシート」のグループ内発表

後半:ワークショップ「ストーリーオブセルフ」  一人一人の過去の小さな困難を乗り越えたエピソードをストーリーにして語る練習(特定非営利活動法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン が開発したワークショップです)


③ 5/26(木) 19:30-21:00

前半:ゲストからの話(クラウドファンディング実施のコツや、小さなクラウドファンディングの事例紹介 / 株式会社CAMPFIRE CAMPFIRE事業統括部 長田拓さん・諏訪茜さん)

後半:プロジェクトの発表(希望者)+投げ銭フィードバック


④ 6/2(木) 19:30-21:00

3〜4人のグループ内で発表→各グループ代表者1名が、全体に向けて発表。+投げ銭フィードバック(さとのば大学の地域事務局コーディネーターが講評に加わりました)


※「投げ銭フィードバック」・・・実際にクラウドファンディングを行っているとしたら「自分だったらいくら出資するか」を含めたフィードバックです。



株式会社CAMPFIRE から諏訪茜さんをゲストにお招きしました。


▶︎なめエコゼミで得た学びとは?受講アンケート


実際に今回のゼミで受講生はどんな学びや繋がりを得たのでしょうか?受講後のアンケートでは、「クラウドファンディングが、よりハードルを低く身近になった」という感想が多くみられました。

・クラウドファンディングがより身近に感じられて、自分がプロジェクトを応援する側の気持ちにもなれました。(中学生/女性)
・ビジコンが、いかにきれいな餅を絵に描けるかが問われる世界観だとしたら、この企画の世界観は、とにかくまず一回本物のお餅をついてみようという感じだなと思いました。(高校生/男性)
・(社会的意義が前面に立つプロジェクトではなく)面白がってくれるプロジェクトも実現可能なのかもって希望を持てました。(教育関係者/男性)

また、ワークショップやノウハウ面での反響もありました。

・自分は何者か表現する際に、今まであった試練とそれをどう乗り越えたか、どんな教訓を得たかを言うと良い!って学びがでかい!!!(大学生/女性)
・自分も今秋、ふるさと納税型クラファンに始めて取り組むが、クラファン応援者にもいろいろな動機があるため、応援者の対象に合わせたリワードの設計や、場合によってはチーム作りのための事前クラファンやサービス展開のための事後クラファンなど、応援してもらう方々の属性に応じたクラファンをプロジェクト期間中何度か行うこともありうる、ということが分かり、クラファンを使ったコミュニティづくりの視野が広がった。(社会人/男性)


アンケート回答者11名の全てが「すすめたい」「是非すすめたい」と回答。



▶︎小さな1歩を踏み出すプロジェクトたち


実は、さとのば大学自体が2018年に実施したクラウドファンディングで1000万円を集めスタートした事業です。支援の集まり=支持の集まりや需要の集まりだと背中を押される一方で、発起人の信岡は「一生に一度のお願い感」があったと当時を振り返って語ります。より応援する関係と応援される関係が循環するようにしたいという想いを持って提起したのが「なめらかエコノミー」です。

今回のなめエコゼミの発表では、「地元食材を活用した食のイベントを地域で開催したい」「洋服のリサイクルボックスを作りたい」「有名人ではない人にインタビューをする活動を始めたい」「インドを旅したい」などなど、まだまだ完全ではないですが、受講生の内から湧き上がるプロジェクトの種をたくさん目にすることができました。

ひとりひとりの受講生が想いを発信できたのは、受講生同士で作る温かいゼミの空気があったからでしょう。アンケートでも次のような回答がありました。

・何かを発言したらとても褒めてくれたり肯定してくれるので自信が持てるようになるし、他の方のお話を聞くのが良い刺激になった。(中学生/女性)
・なめエコゼミでは、「みんなが支援してくれることでお金の制約を取り払えるのなら、自分は世の中のために何をしたいのか」ということを、「クラファンの企画」という形で、まずは非常に小さな規模ながら現実的に考えることができる。それを他の参加者や応援者と一緒に行うことで、勇気づけられながら内省を深めていくことができる場になっている。(社会人/男性)

なめエコゼミの学び自体が、誰かから与えられるものではなく自分たちで共につくるものである。そんな学びの自治とも言えるマインドが、なめエコゼミの基本のキの部分にあります。そんな気持ちを持った人が集まる「学びのコミュニティ」が、受講生も運営者も含めた私たちが得た価値と言えるでしょう。


▶︎今後は中学校や高校の学習にも活かしていきたい


今回は「なめエコゼミ」の第1回。今後も継続して色々な場所で展開していきます。特に力を入れていきたいのは、中高生たちに向けた展開です。若い人たちが一歩を踏み出すきっかけと、若者と伴走者としての大人たちが出会う場所を作っていければと思います。

例えば中学・高校の探究学習の時間に「なめエコゼミ」を実施するなど、興味をお持ちいただける教員・教育関係者とご一緒させていただくのも良いかもしれません。全国の10代が、より気軽に挑戦を言葉にして最初の1歩の行動を始める。それを応援する大人たちが周りにいる。私たちは、そんな未来を「欲しい未来」として、想像しています。

(ご興味をお持ちくださった教育関係者の皆さん、ぜひお気軽にご連絡をください)